iQUEの歴史

1980年代 XIR Technology 誕生

iQUEフィルムのコア技術となる XIR Technology は、
米国シリコンバレーで産声をあげました。
NASAの潤沢な支援の下、Gene Woodard博士らによる研究の結果、
フレネルの公式等、光学物理の基礎理論の元に、多層膜からの光の多重反射を
活用すれば、波長選択的に反射を強めたり弱めたりすることができ、
理想的な可視光線透過構造が実現できることを見出し、
さらに世界初の多層スパッタリング技術を開発し、その理論を実現しました。

この発明は、直ちにNASAのスペースプレーンで採用されました。
厳しい宇宙環境での活用は、この技術をさらに完成度の高いものへと磨き上げ、
高品質と高信頼性をより一層高めていくことになりました。


1990年代 自動車用材料として採用

厳しい宇宙環境で磨き上げられた XIR Technology は、次に自動車用透明遮熱ガラスの
中間材として商品化されました。
その生産拠点はドイツのドレスデンに置かれ、べンツ、アウディ、ワーゲン、ボルボ等
欧州の主要高級自動車メーカーの自動車用材料として採用され続け、
広く市場に流通するようになりました。

1999年には、科学誌で著名な「 ポピュラーサイエンス誌 」において、
20世紀の発明品100に選定され 「 ミレニアム 100選 」 を受賞しました。
また、同時受賞に、冷蔵庫やパーソナルコンピュータが並び、技術的価値に関する
米国での注目の高さがうかがわれました。

後に、自分の車に後から施工できる、高性能カーフィルムが新たな商品 V-KOOL として
ラインナップに加わり、世界中でさらに使われるようになりました。
V-KOOLブランドは、今では世界では知らない人はいないと言われるほどの
トップブランドに成長しています。


2000年代 建築分野へ進出

XIR technology が いよいよ建材分野に応用され始めました。
自動車への施工性を考慮し、伸縮加工性を優先して25μm厚みに制限された
V-KOOLフィルムに対し、飛散防止性能( 厚み50μm )、
防犯性能( 厚み200μm )、防爆性能( 厚み400μm )等の様々な建築分野で
求められる性能を満足するようにフィルムの厚みが仕様変更された
これらの製品群は、カーフィルム製品との区別のため iQUEフィルム として
ブランド名を変えて上市されました。


2010年代 日本へ本格導入

優れた遮熱性と高い耐久性が、中近東・東南アジアで実証された iQUEフィルム が、
いよいよ日本に本格導入されました。
ただ、四季という日本特有の気象条件、網入ガラスや着色ガラス、
複層ガラスといった多種多様な機能性ガラスへの対応が求められる中、
ガラス改修の技術的知見を深め、お客様に安心してご利用いただける
様々なサービスが提供されるようになりました。
これらのノウハウはその後、日本から世界へと発信されるようになっていきます。


2020年代 新たな展開へ

コロナ過不況で各社が事業の選択と集中を進める中、iQUEフィルム の取り扱いに
詳しい専門業者が誕生し、独自の理論や経験に基づく様々なサービスの展開を
開始するようになりました。
また新たな機能・効能として、優れた電磁遮蔽機能も見出され、
iQUEフィルム を活かすための施工方法や業界に類を見ない保証体制の開始など、
新しい展開が始まっています。





世界のトップブランド V-KOOL

Silicon Valley (USA)で発明され、Dresden (Germany) で生産される
最高のスパッタリング技術 XIR Technology。
ドライバーに快適と満足を提供する V-KOOL は燃費や電気自動車の
走行距離をも向上させ得る多くの可能性を秘めた最新のカーフィルムです。

透明遮熱という新しい価値

カーフィルムってどんなイメージがありますか?
なんとなく真黒なフィルムほど車内を涼しく してくれそうなイメージがありますよね。でもこれってホントなのでしょうか?

確認するために、こんな実験をしてみました。
まずは 縦18㎠、横31㎠、高さ24㎠ のガラス水槽を準備。
ガラスの外側には、白いバスをイメージした装飾を施し
ガラスの内側によく知られているカーフィルムを、側面全面に
貼り付けます。
中に温度計を入れ、外から西日を想定した輻射熱をガラス水槽に
当てながら、内部の温度変化を確認してみます。

例えば、フィルムを貼っていない場合は、グラフ1のような
結果になります。
光照射前は、気温・体感温度とも、室温と同じ28℃でしたが、
輻射熱を照射すると、まずは体感温度が急激に上昇し、
つられて気温も上昇し始めました。
また、この時の気温の昇温速度( 初速度 )は、
0.96℃/minでした。
つまり、この条件で車内温度を28℃で維持するためには、
エアコンで常に0.96℃/minで冷やし続けないといけないことに
なります。また、体感温度と室温との差は、室温が低い方が大きく、
最大で7.5℃まで差が広がりました。
これが エアコンが効いていても暑く感じる不快感 の正体に
なります。実際、車内空調が28℃となっていても、
体感温度は36℃なのかもしれませんね。

次に、車内温度が何℃まで到達しそうか、解析しました。
詳しい説明は割愛しますが、時間の逆数と温度の逆数で
プロットします( グラフ2 )。
すると、測定結果が直線で並びますので、そのY切片を見れば、
到達する最高温度が推定できます。
未施工の場合は、気温、体感温度とも同じ結果で、
Y切片=0.0168 となりましたので、
最高到達温度は 59.5℃( =1/0.0168 )であると
予想されました。

次に、様々なカーフィルムを貼って同じ実験を繰り返してみました。
選んだフィルムは左の表のとおりです。
一般的には、色の濃いフィルムほど、車内を涼しくしてくれそうな
イメージがあることから、得られた測定結果を明るさ
( 可視光線透過率 )で並べてみました。
その結果が、下のグラフ3、4になります。
実験の結果、どうやら色の濃いフィルムだからと言って
涼しくなるとは限らないことが明らかになりました。

それでは次に遮蔽係数で比較してみましょう。
遮蔽係数とは、日射熱を遮る効率を表す値で、
遮蔽係数が小さいほど、涼しくなると考えます。
測定結果をその遮蔽係数で並べなおします。

その結果が、下のグラフ5、6になります。
結果から明らかな様に、どうやら遮蔽係数だけでも、優劣は単純には決まらないようです。
ただ、遮熱技術( 製品 )ごとに分けてみてみると、何かの傾向が見えてきています。
一方、例えば V-KOOL 70+ と V-KOOL 30 は遮蔽係数が大きく異なるにも関わらず、似たような結果になっています。
これは不思議な結果です。
この理由を探るために、V-KOOL X75 、V-KOOL 70+ と V-KOO L30 の測定結果を詳しく見てみることにしましょう。

まず、室温の結果( グラフ7 )から3者を比較してみましょう。
V-KOOL フィルムは、いずれの場合も、優れた遮熱効果を発揮していますが、初期の昇温速度を比較してみると、
V-KOOL X75( 遮蔽係数=0.66 )、V-KOOL 70+( 同=0.50 )、V-KOOL 30( 同=0.38 )の順に、
0.42、0.39、0.36℃/min と、遮蔽係数の減少とともに昇温速度も下がることがわかります。
ところが、その到達温度では、44℃、42℃、42℃となっており、
V-KOOL 30は、遮蔽係数が優れている割に性能が上手く発揮できていないことがわかります。
この理由は、体感温度( 黒球温度 )の結果( グラフ8 )を見ればわかります。
輻射熱も含めた体感温度で比較してみると、遮蔽係数が優れていても濃い色がついている V-KOOL 30 は、
遮蔽係数がやや劣っていても透明な V-KOOL 70+ よりも温度が高い結果を示しています。
この傾向は、Aグループ、Bグループ、Cグループ のいずれの製品でも確認される傾向でした。
これはつまり、濃い色のフィルムは、フィルムを通過する輻射熱は少ないかもしれませんが、
フィルム自体が輻射熱を吸収して熱くなり、フィルムから再び輻射熱を放射しているからだと思われます。
これを再放射と言います。

このことから、本当に涼しくなるフィルムとは、遮蔽係数が小さいだけでなく、
フィルムが熱くなりにくく、再放射の少ないフィルムであることがわかります。


実際に自動車の窓にテスト施工してみました!

では、実際に自動車にフィルムを試験施工して、
効果を確認してみましょう。
左の様な同じ車種の自動車を2台用意し、
片方にのみ V-KOOL X75( 可視光透過率=77%、遮蔽係数=0.66 )を
フロントガラスと運転席・助手席のサイドガラスに施工し、
ハンドルの位置に、温度計を設置してみました。
そして、日曜日の昼下がりを想定し、次のストーリーでエアコンを動かして
車内温度の変化を調べてみました。

実験結果を見てみると、遮熱フィルムのいろんな効果が見えてきます。この効果を一つずつご紹介します。
V-KOOL フィルムを施工していない一般車は、太陽が昇り始めた 06:30 から太陽の日差しと共に、
車内温度がどんどん上昇し、09:00 を過ぎると55℃以上になってしまいます( 一般車 )。
ところが、V-KOOL を施工したVK装着車は、その車内温度が50℃までしか上がっていません。
つまり、エアコンがオフの時の車内の温度上昇を緩やかにする効果があります。
これは12時~13時の間の温度上昇でも同じ効果が確認され、放置する時間が短いほどその効果が大きくなる傾向にあります。
さすがに10:30( 出発時 )には車内温度が60℃前後まで上がってしまい、
一般車なら、エアコンをつけても快適な温度になるまでに80分もかかってしまうところでしたが、
VK装着車は半分の40分で快適な温度にすることができました。
つまり、エアコンの効きを良くする効果 があることが確認されました。
西日がまぶしい15時台、空調が充分効いていて車内は快適なはずなのに、
窓から差し込む日差しのせいで、体感温度は40℃以上と不快に感じられてしまうところ( 一般車 )ですが、
VK装着車は車内温度と体感温度の温度差が小さく、日差しの暑さを感じにくい効果 があることもわかりました。

これらの実験の結果、例えば不快に感じない車内温度を35℃以下だと仮定すると、
一般車では実運転時間180分間のうち、快適だったのはたったの40分だけだったのに対し、
VK装着車の快適時間は3倍の120分まで増えることがわかりました。
もちろん V-KOOL施工 による車内環境の快適化の程度は、製品の仕様、気象上昇、運転の仕方などによっても
変わるので、その効果を一概に言い切ることはできませんが、多くの場合で快適な車内環境が実現できそうです。

※ フロント3面へのフィルム施工には様々な規制がありますので、詳細は専門家にご相談して頂く必要がありますが、
V-KOOLフィルム を上手に活用すれば、燃費も向上させながら、快適な車内空間を実現することができます。
電気自動車なら、夏場の走行距離が大幅に伸ばせるかもしれません。ぜひとも、個別にご相談下さい。


再放射の少ないフィルムの見分け

本当に涼しくなるフィルムとは、遮蔽係数が小さいだけでなく、フィルムが熱くなりにくく、
再放射も少ないフィルムであることがわかりました。
ただ、遮蔽係数( あるいは日射熱取得率 )であれば製品カタログに記載がありますので、比較検討が容易ですが、
再放射の大小はカタログを見ても記載がないことが多く、これが製品選びを難しくしています。
要はガラスが熱くならなければいいわけですが、それではガラスの温度はどんな風に決まるのでしょうか?
実は、非常に便利なガラス温度の予測式( 簡易的な近似式 )があります。

ガラス温度:Tg = 0.041 × ( 日射量:I × 日射吸収率:A + 15.1 × 外気温:TO + 9.2 × 室温:TI )

この式を、自動車ガラスで置き換えて考えてみましょう。
例えば、真夏の西日を想定します。外気温:TO=35℃、車内温度:TI=26℃の環境下で、
日差しの強さ( 日射量 )を 600W/㎡ とします。
すると、その時のガラスの温度Tgは、Tg=24.6 × 日射吸収率:A+31.5 となります。
例えば、日射吸収率が 60% を超える濃色ガラスの場合、空調が効いているにも関わらず
ガラスの温度が 46℃ を超えてしまう可能性があるわけです。
つまり、再放射の少ないフィルム探しでは、日射吸収率の小さなフィルムを探せばいいわけです。
とはいうものの、日射吸収率も製品カタログに記載はなかったら・・・。
でもここまでくればもう大丈夫。遮熱フィルムの良し悪しは簡単に見分けられます。
遮熱フィルムは、日射熱を遮る機能性フィルムですから、優れた製品は、熱源ランプに当てた時の
熱の透過を感じないものが、良い性能のフィルムと考えることができますが、
ここでもう一つ、製品にランプを当てた時の、熱の反射についても確認してみて下さい。

もし、フィルムによるランプの熱の反射も感じない場合は、
製品に照射された熱を製品が吸収している可能性が高いです。
つまり、その製品は日射吸収率が高く、ガラスが火照って、
熱くなる製品の可能性があります。
言い換えると、車内が暑くなりにくいフィルムとは、
熱の透過が少ないだけでなく熱をよく反射する製品である
ということになります。

ここで改めて、先ほど検討を行ったフィルム製品の製造技術とその結果のグラフ5、6を確認してみましょう。
遮熱効果の高い V-KOOL は熱線全反射型フィルム、次に性能の良かったグループAは熱線部分反射型フィルム、
あまりいい結果が得られなかったグループBや、ほぼ性能が認められないグループCは熱線吸収型フィルムでできています。
つまり、グラフ5、6の結果は、遮蔽係数と日射反射率の両方の優劣で暑さの遮蔽効果が決まるという、
とても分かりやすい実験結果だったのです。



ショーウインドウでも、風景を楽しむ窓ガラスでも。

日本でも XIR Technology の感動をお届けします!