
窓から野外に逃げてしまう室内の温かさ。
その原因としてガラスの断熱性(熱貫流率)のみが着目されますが、
実はそれだけではありません。だから意外と部屋が寒いんです。
ガラスを通過する熱は、熱伝導と熱放射の二つの通り道があります。
熱伝導はまさに、熱が直接伝わる現象で、複層ガラスなど、
熱が伝わりにくい(熱貫流率が低い)ほど、熱が野外に逃げやすく
なります。また、ガラス両側の温度差が大きいほどその効果が
大きくなります。一方、忘れがちなのが、熱放射。これは熱が
赤外線(輻射熱)としてガラスを通り抜けてしまう現象で、
透明な複層ガラスでは防ぐことはできません。
実はこの二つの現象、対策が真逆になってしまうんです。
熱伝導は、先の通り熱(分子振動)が直接伝わる現象なので、
これを抑えるためには、なるべく軽いもので覆うのが近道です。
複層ガラスは、ガラスとガラスの間に、軽い気体を封じ込めることで、
この熱伝導を大きく抑制しています。
ところが熱放射は、赤外線となってガラスを通過する現象なので、
逆に、金属など、様々光を反射する物質でガラスを覆う必要があり、
軽い気体や透明なガラスは逆効果です。
つまり、透明複層ガラスだけでは冬の断熱対策は不完全ということに
なります。
と言っても、せっかく透明な窓ガラスをアルミ箔で覆う
わけにもいきませんよね。
そこでiQUEフィルムが活躍します。
iQUEフィルムは、高透明で
ありながら、赤外線を、
ちゃんと遠赤外線迄反射
していることが、東京都立
産業技術研究センターの
特殊な測定の結果で明らかに
なりました(図1)。

室温の放射熱は5μm以上の遠赤外線になりますが、
iQUEフィルムは、その遠赤外線を全く通過させず、
20~60%の遠赤外線を反射していることが確認されています。
この様な他の製品にはない特別な性質を持つiQUEフィルムは、
実は、透明複層ガラスの足りない性能を補完する
優れたパートナーとしても活躍します。
それでは、実際に暖房の省エネ効果があるか再現実験で
確認してみましょう。

ガラス水槽をひっくり返して、
小さなホットカーペットに乗せ、
中に温度計を入れておきます。
この実験装置を高度に温度制御
できる恒温槽に入れ、10℃の
状態で1時間静置します。
この状態は、ガラスが大きなリビングルームで床暖房が設置されているみたいですよね(図2)。
さて床暖房を模したホット
カーペットの電源を入れて
みます。するとゆっくりでは
ありますが、室温(水槽内の
温度)が上昇し始めます。
ただiQUEフィルムを貼って
いないガラス水槽の場合では、
温度上昇の速さが5.5℃/hr、
到達温度が13.8℃(+3.8℃)で
あったのに対し、
このガラス水槽にiQUE73FG
フィルムを施工すると、
温度上昇の速さが9.9℃/hr、
到達温度が14.4℃(+4.4℃)と
昇温速度で1.8倍、最高温度で
1.15倍の断熱性の向上が
認められました(図3)。

ここで注目したいのは、初期の温度上昇の改善効果です。
先に説明した通り、複層ガラスは、ガラス両側の温度差が大きいほど
その効果が大きくなります。最高到達温度は、複層ガラスの方が
より効果的であることは間違いないのです。ですが床暖房のスイッチを
入れた初期である室温と外気温の差が小さい最初の間は、
複層ガラスの断熱効果はあまり期待できません。
つまり室内が、なかなか暖かくならないことが危惧されるのです。
そこで、透明複層ガラスにiQUEフィルムを施工することで、
室内を早く温めることができる様になり、窓ガラスの断熱改修が
完成します。
iQUEフィルムは、実は冬の省エネにも期待できる、他に類を見ない
優れた省エネウインドウフィルムと言えることが化学的に証明されたと
言えるのではないでしょうか。